Mutsumi Tomita 冨田 睦海

冨田 睦海 Mutsumi Tomita

1978年生まれ。高校卒業後、家業である仏像彫刻に従事するため父親に師事。
その後、兄と共に独立し、数々の寺院彫刻や仏像修復、皇室位牌修復などを手がけ、 2010年、その彫刻技術を生かしたシルバージュエリーブランド「睦海」を立ち上げる。

仏像彫刻師になるということ

私は親子三代に渡り、この京都で「御仏像・京仏具」の製作に従事させて頂いております。
時を重ね受け継がれてきた最高峰の技法を、京職人として見倣い、彫刻という分野の中で、各宗寺院の仏像や仏具など様々な製作に携わらせて頂いております。

想像したものがかたちに出来る。それがものづくりの醍醐味だと私は思います。
しかし、それが本当に難しい・・・出来るようになるには刃物が自分の腕のように扱える、百発百中の技術が必要であり、それが永遠の課題であると私は思います。
それに一歩でも近づけるよう決められたものを造り続ける・・・

ブランドをはじめたきっかけ

京都に限らずこの日本には古くから伝わる伝統文化が数多く存在します。
しかし今、この深く根付き継承されてきた文化の火が少しずつ消えていっています。

この誇り高い文化を「少しでも皆さんに知って頂きたい、身近に触れ合って頂きたい」そんなある日、知人に白檀材で仏像(壇像と呼ばれます)を刻んだ際の余材を数珠玉にし、「お守り代わりにでも」と差し上げたところ大変感激して頂きました。

その時、私の中でひとつの想いが胎動し始めました。

観音菩薩

『 ないものは造ればいい 』

観音様は胸元や手首にネックレスやブレスレット、アンクレットなど様々な装飾品を着けておられます。そこには大小様々の宝石がちりばめられ、繊細な彫刻の装飾が施され、それが「粋」とされているのです。
彫刻だけではなく、日本の歴史が造り上げてきた伝統文化は、世界に誇れる財産であると同時に、先人達の遊び心が詰め込まれた「粋」な物でもあるのです。純粋にかっこいいと思った。そしてそれを身に着けたいと思った。
ないものは造ればいい、ただそれだけでした。

『 次世代技術者の環境整備 』

現在、若手職人が育つ環境が成り立っていないという現状。
海外製造など、流通の変化などにより衰退傾向にある工芸会を目指すこれからの人たちに伝えたい。手に技術を付けた時、やる気さえあればそこからの能性は無限大だよと。